冷泉公裕(俳優・歌手)がウロウロする「お気楽日記」
俳優。
1947年東京生まれ。B型、水瓶座。劇団文学座に29年間在籍の後、1996年に退団。舞台、映画、TVなどに味のあるバイプレイヤーとして親しまれている。20代半ばより俳優業と並行してライブ活動を開始。団塊の語り手として、ジャンルにこだわる事なく自分の琴線にふれる歌だけを唄いつづけている。
2016-10-29 19:09
前々から気になっていた「ちゃんこ屋」さんに入る。
幕末のお相撲さん津軽藩お抱え力士「一の谷」関の緋色の化粧まわしが座敷にでんと飾ってある。
ちゃんこ鍋は鯛つみれ醤油味の優しい味。
元幕下力士の親父さんと息子さん、気さくなおかみさんの温かさが重厚な部屋構えのなかで実にほっとする。
忘年会、新年会に最適な店。神田明神下。
鯛つみれちゃんこ一人前三千円。お勧めです。
2016-10-27 23:42
ポレポレ東中野は素晴らしいドキュメンタリー映画を上映するミニシアターだ。
ここでまた心に訴えかけてくる秀作に出会った。
「ふたりの桃源郷」山口県岩国市の山奥で暮らす老夫婦の25年のドキュメンタリー。
仲の良い老夫婦の淡々とした山の暮らし。それを心配する都会暮らしの子供たち。
1日の仕事を終え缶ビールで乾杯するふたりの笑顔。
認知が始まった奥さんはご主人の亡くなった事を認識せず山に向かって呼びかける。
「おじいさーん〜」。澄み切ったおばあさんの声はまさに童女。
元は他人から始まった「夫婦」というかけがえのない関係、そして生きる、生き続ける。
そして消えて、死。
また「福島生きものの記録」から聞こえてくるのも「生きる」ということ。
原発事故で荒れ放題の無人の町をイノシシ、サル、アライグマが歩く。
そしてその躯からは基準値の100倍のセシウム。
普通なら山深い中で生きものとしての生をまっとうしたであろう動物たちの無惨な死。
二つの作品を見て「いのちの尊厳」という言葉が浮かんできた。
それにしても25年間という長きにわたって撮影し続けた山口放送と「福島生きもの」を粘り強くかつ淡々と記録し続ける群像舎、岩崎雅典さんの「志」に敬意を表する。
岩崎さんは神楽坂「きくずし」で時々お会いする静かな酒品の人です。
2016-10-26 12:16
支配人は軽かったが初老のナイトポーターは無口だった。
そしてその眼は雨に濡れた老犬だった。
仕事を終え早朝の坂道を帰って行く彼の指からはいつも煙草の煙がゆれていた。
日本に帰る朝いつまでも僕の手を離さなかった彼はそれからしばらくして死んだ。
肺がんだといつも陽気な支配人が言っていたと吉祥寺の服部さんが教えてくれた。
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